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「大学を卒業したら、就職しますか?」

この質問には、おそらく多くの学生が「はい」と答えるのではないでしょうか? 文科省の調査によると、平成26年度の大学卒業後の就職率は男女ともに95%超。卒業後すぐに就職することは、今の日本において最も一般的なキャリアの流れになっています。

そんな中、昨年3月に大学院を中退した上村菜穂さんは、1度も就職することなく「フリーランスのライター」として自身のキャリアをスタートしました。周りにいる学生の多くが就職していく中で、なぜ上村さんはフリーランスになる選択をしたのでしょうか。

学生時代から現在まで、上村さんが試行錯誤しながら歩んできた道の中に、世間の風潮に捉われず「本当に自分が望む生き方」と向き合うためのヒントが散りばめられていました。

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「どの業界に行きたいの?」──社会人からの質問に違和感

――上村さんは約1年半前にフリーランスのライターとして活動を開始されたとのことですが、今はどのようなお仕事をされているのですか?

ひと言でまとめるのが難しいのですが(笑)、ライター、インタビュアー、電子書籍出版のプロデュース、YouTubeの就活番組の講師など、いろいろなお仕事をさせてもらっています。

最近は女子大生のキャリア支援もしていますね。『なりたい自分になるために』というテーマで、女子大生に自分の理想像を考えてもらうワークショップやお茶会を開催しています。

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(お茶会の様子)

――女子大生のキャリア支援をしていると、就活生と関わる機会も多いのでは?

そうですね。就活生には自己分析やESのサポートもしています。

──ライターに文章をチェックしてもらえるなんて心強い。参加する学生はどのような人が多いですか?

最も多いのは、「家庭と仕事の両立がしたいけれど、どうしたらできるのかわからない人」、一言でまとめるならばワークライフバランスをとりたい女性です。ほかにも「なりたい自分が分からない人」、もしくは「なりたい自分は分かるけど、具体的に何をしたらいいか分からない人」が多いですね。

──就活を前に「自分が何をしたいのか分からない」という学生には私もよく出会います。

「行きたい業界がない」って悩んだりする子もいますよね。でも、これって大人側の質問が良くないと思うんですよね。私が大学3年生のときにも、「どの業界に行きたいの?」と、”業界”の枠をつけて質問する大人があまりにも多くて、私にはすごく謎でした。無理に枠をつけた質問をする大人があまりにも多いから、学生は「その枠の中で答えを見つけきゃいけない」と思ってしまいます。

──上村さんは業界どころか、“卒業後は企業に就職する”という枠にさえはまらずにキャリアを築いてこられたんですよね。上村さんが「自分らしいキャリア」に辿り着くまでの軌跡を、ぜひ聞かせてほしいです!

「誰の力になりたいの?」──社員3名の会社にお問い合わせしたきっかけ

──上村さんは企業に入らず最初からフリーランスとして活動されていますが、就職活動はまったくしなかったのですか?

いえ、就活はしていました。大学3年生の頃は、まずベンチャー企業に就職するつもりだったんです。

「将来的には会社に頼らず自分の力で仕事をしたい」という意識があって、起業を視野に入れていたので、「0から1をつくること」を早めに経験しておきたかったんです。

──最初から起業はするつもりだったんですね。当時、会社選びはどう進めていたんですか?

当時は「専業主婦の力になりたい」「20~30代の女性が輝く社会をつくりたい」という軸でキャリアを考えていました。

母が専業主婦で、簿記や手芸など様々なスキルを持っているのですけど、どれも趣味止まり。本人は「仕事をしたい」と言っているのに、持っているスキルを活かしてビジネスをしないことがすごく勿体ないと思ったんですね。それがきっかけで「女性が自立するために自分に何ができるだろう」と考え始めました。

──「誰の力になりたいか」から考えていたんですね。

そうなんです。就活生の自己分析を手伝っていてもそうなのですが、仕事を通して社会貢献がしたい人は「自分のやりたいことは?」と聞かれてもピンとこないんですよね。でも人の役に立ちたいとは思っている。そこで「じゃあ誰の力になりたい?」と聞くと、「就活に不安を抱える学生」や「貧困で生活が苦しい人」など、すぐに答えが返ってきたりします。

──確かに、力になりたい相手が見えれば、具体的にどんな仕事をすればいいのか想像しやすいですね。

はい。「じゃあその人たちの力になれるような仕事ができればいいね」と伝えると、そこからは話が早いですね。

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──なるほど。上村さんは当時、入りたいと思える企業は見つかりましたか?

見つかって、内定もいただきました。女性の自立支援をしている社員3名のベンチャー企業で、社員募集はしていなかったんですけど、会社のお問い合わせフォームから自分で面談を申し込んで(笑)。

企画書をつくって「自分はこういうことをやりたい」「会社をこういう風にしたい」とプレゼンしたら、働かせてもらえることになったんです。社長はママさんでもありながら事業を展開し、ものすごく忙しいはずなのに、私にもいつも優しくしてくださって、すごく素敵な女性でした。

──アグレッシブ。でも、その会社には結局入社しなかったんですよね?

はい。私は『賢者屋』という学生向けのフリースペース運営に関わっていたのですが、大学生と関わるうちに「就職する前の女子学生のうちから、将来やキャリアについて考える機会を提供し、本人が幸せな社会人生活の第一歩を少しでも踏み出せるようにサポートしたいな」と思うようになっていきました。

社長と出会った当初は「20~30代の女性が輝く世界をつくりたいね」と話していたのですが、途中から社長はママさん世代、私は女子大生世代へとお互いの方向性が変わってきたんです。

──「誰の力になりたいか」という軸が変わってきたんですね。

そこで、これから何をしていくのかをもう少し考えようと思って、大学4年生の12月には内定を辞退して、大学院に進みました。

「いつ幸せを感じた?」──自分の強みを探すうちに、やりたいことが見つかった

──では、大学院時代の就活は、学生の支援ができるベンチャー企業を探したんですか?

いえ、そもそも、進学を決めた時点で「卒業したら就職せずにフリーランスで働く」と決めていました。

30歳くらいで本格的に起業するなら、それまで企業にいるよりも、個人で何か事業をしてみたほうが学びがあるんじゃないかと思ったんです。

──フリーランスになること自体は早くに決めたんですね。個人的には「企業の中でいろいろと学んでから起業するほうが安全」と考えてしまいそうですが…。

自分のキャリアと向き合う中で、自分にとってのリスクというものを考えてみたんです。そこで「将来起業するなら、『自分で事業をした経験のない状態』が最大のリスクになる」と気づきました。

リスクについての考え方は、高校と大学時代の陸上部での経験が大きいですね。高校では長距離ランナーだったのですが、大学の部活には女子の長距離がなくて、仕方なく短距離ランナーとして入部しました。その環境にいると、自分の弱みで勝負することや未経験であることがどれだけ不利になるのか痛感しました。だから、「起業するときにあの想いを繰り返したくない」という気持ちがあって、失敗してもいいから自分で事業をする経験を積みたかったんです。短距離をしていなかったら、すぐにフリーランスにはなっていなかったかもしれませんね。

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──なるほど。ところで、女子学生の自立支援をしたいと考えていた上村さんが「ライター」を仕事に選んだ経緯が気になります。

きっかけは、女子学生の支援という軸でいいのか悩んでしまったことです。私以外にも女性支援の活動をしている人がたくさんいる中で、「私は本当にこれをやりたいのかな…」と悩んで、自分に自信が持てなくなってとても落ち込んでいた時期がありました。

──自分がやりたいのは主婦の支援でも学生の支援でもないかもしれない、と思ったんですね。

大学院1年生の夏頃、身近な先輩にその悩みを相談したら「ここ最近褒められたことってなにがある? 一度思い出してみるといいよ」とアドバイスをいただいたんです。自分の強みを見つけて自信を取り戻すためにも、自分がこれまで褒められたことを全部ノートに書き出しました。

──自分の強みを客観的に発見できそうな問いですね。その作業の中で「文章を褒められた」という気づきがあったんですか?

そうなんです。「文章が面白い」「表現が上手い」など、文章に関する褒め言葉が多かったんですよね。その言葉を改めて見つめながら「私って無意識レベルで、文章を書くことが好きなんだな」って気付いたんです。

──まったく新しい視点から、気づきを得たんですね。

電車に乗っているときや散歩しているときに「今日はFacebookの投稿に何書こうかな~」と自然に考えている自分がいるんですよ。好きだから、無意識の間についやっているんですよね。それで「これだ!!」と思って、「ライターになります」と勢いで周りに宣言しちゃいました(笑)。

「自分をどれだけ幸せにしたい?」──やりたいことを仕事にするための意識

──ライターにしても、就職せずにいきなりフリーランスというのは難しい印象があるのですが、お仕事って来るものですか?

ありがたいことに、いろいろとお仕事をいただきました。5社と業務委託契約をして、イベントレポートやインタビュー記事、キュレーション記事の作成など、さまざまなライティングのお仕事をさせてもらいました。

一回、どうすれば実績をつくれるのかと聞かれたことがあって、すごく考えたんですよ。そこで私が思った方法は、「人に喜んでもらえることをひたすらやる」ということ。数字とか目立った達成経験も時には重要なのですが、それよりも相手が喜んでくれることを予測する習慣が大切なのかなと思います。

──「誰かの力になれているのか」という意識が大切なんですね。

それに、ライターとしていろいろな仕事をしたおかげで、自分が本当にやりたいことに気づきました。

ライターの仕事では、インタビューで人の魅力を聴き出して表現する記事が一番好きなんですけど、振り返ってみると私はもともと「人の魅力を見つけること」「その魅力を周りに伝えること」がすごく好きなんですよね。

だから今はライターの仕事に限らず、女子大生のキャリア支援をして相手の魅力を言語化したり、その人のPRのお手伝いをしたりしています。

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(女子大生向けイベントの様子)

──すごい、気づけば結果として「女子学生の力になりたい」という軸にも戻ってきたんですね。

本当にやりたいのか悩んだこともありましたけど、やっぱり私は、少しでも多くの女性が「自分の好きなことを仕事にできる力」を若いうちに持てるようにしたいと思っているんです。

最近だと少子化やダブルケア(※育児と介護を同時に行うこと)が問題とされているじゃないですか。いざその問題に直面したときに、働きに出られず収入がなくなったら、きっとその人はつらい思いをしてしまう。

家でお料理教室をしたり、雑貨をつくって売ったり、方法はなんでもいいので、問題に直面する前の若いうちに「自分の好きなことでお金を稼げる状態」になってほしいんです。

──「好きなことでお金をもらうのは難しそう…」と不安になる学生は多いと思うんですけど、上村さんのように本当にやりたいことでお金を稼ぐため、大切なことってなんでしょうか?

まず「自分のことをどれだけ幸せにしたいか」を考えるといいと思います。自分のことを本当に幸せにしようと思ったら、「自分を幸せにする方法」を探し続けると思うし、探すこと自体が楽しくなると思うんですよ。私も、いろいろな違和感や悩みと向き合って、一時期は「ライターになりたい」と思って突っ走ってきたけど、おかげで「本当にやりたいこと」を見つけて仕事にできました。

世の中にはたくさん企業があるから探すのも大変で、やりたいことができそうな会社がないなら自分で起業したりフリーランスとして事業を始めるしかないかもしれない。

でも、「探さなくても別にいいや」「憧れのライフスタイルはできないかもしれないから、このくらい」など、自分で自分の人生に上限をつけずに、自分を幸せにするために向き合い続けることって、楽しいですよ!

【上村菜穂さんについて】
大学院在学中より「女子大生ライター」として活躍し、2015年4月にフリーライターとして独立。その後はライター業に留まらず、イベントレポーター・インタビュアー・大学生のキャリア支援・電子書籍出版など、多方面で活躍。
2015年9月に創設した「人生設計女子会」では、『同世代の女性・女子大生が、自分らしいキャリアを選択して家庭も社会も幸せにできる女性を増やすこと』をミッションとしている。Facebookやブログも、ターゲットとなる女性たちに響く記事やメッセージを積極的に発信中。
Facebook:https://www.facebook.com/naho.uemura.1
ブログ:http://nahouemura.com/

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